日本泌尿器科學會雑誌
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免疫化学的測定法による前立腺酸性フォスファターゼ
第2報 正常人および前立腺肥大症患者における検討ならびに従来法との比較検討
酒井 俊助加藤 直樹説田 修鄭 漢彬河田 幸道西浦 常雄沢田 英夫
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1982 年 73 巻 5 号 p. 599-608

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抄録

前立腺腺腫より前立腺酸性フォスファターゼ (PAPase) を精製し, これをウサギに免疫して得られた抗血清より PAPase 活性のみを測定する免疫化学的方法をもちいて, 正常男性7例, 正常女性7例, 前立腺肥大症患者54例の PAPase 活性を測定した. 同時に従来の方法によつて全酵素活性値, L-tartrate 阻害による PAPase 活性も測定し比較検討した. 正常男女および前立腺肥大症患者血清の全酵素活性値, L-tartrate 阻害による PAPase 活性値はいずれの群の間にも差を認めなかつた. 全酵素活性値に対する L-tartrate 阻害の割合において, 正常女性血清では48%前後の高い阻害率を認めた. 免疫化学的方法 (immunochemical method) による PAPase 活性値の前立腺肥大症患者54例における平均は0.33±0.29n moles/min/mlであり, 正常男性 (0.18±0.16) や正常女性 (0.13±0.20) よりは高値を示したが有意の差を認めなかつた.

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