日本泌尿器科學會雑誌
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Print ISSN : 0021-5287
表在性膀胱腫瘍に対する制癌剤再発予防注入療法
尾崎 雄治郎津島 知靖那須 保友赤木 隆文小浜 常昭松村 陽右大森 弘之
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1986 年 77 巻 9 号 p. 1493-1500

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抄録

表在性膀胱腫瘍の経尿道的手術後における再発予防を目的として, Adriamycin (ADM) および Mitomycin C (MMC) の膀胱腔内注入療法を施行した. 単発, 多発各々を以下の3群 (ADM, MMC, 無処置) にわけ, randomization を行った.
1) 無処置群
2) ADM群: ADM 50mgを生理的食塩水100mlに溶解し注入
3) MMC群: MMC 30mgを生理的食塩水100mlに溶解し注入.
投与スケジュールはTURまたはTUC後2週以内に6回注入, その後は4週間毎に2日連続の注入とし, これを2年間続行するものである.
対象総数は134例, 評価可能例は103例で, 脱落除外例は31例であった.
2年累積非再発率はADM群73.6%, MMC群63.4%, 無処置群22.5%であった. 注入2群 (ADM, MMC) の累積非再発率は, 無処置群のそれに比し, 有意に高かった.
副作用は比較的軽微であった.
我々は, Adriamycin および Mitomycin Cによる, この注入療法は, 膀胱腫瘍の再発予防に有用であると考える.

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