1988 年 79 巻 6 号 p. 1078-1084
当科入院患者, のべ494名を対象とし, 血中, 尿中α1-microglobulin (AMG) を測定し, 従来の腎機能検査, 主としてβ2-microglobulin (BMG) と比較し, 泌尿器科領域における腎機能の指標としての意義を検討した.
1. 血中AMGはCcrなど従来の腎機能検査と有意の相関を認めたものの, 全般的に血中BMGのほうが血中AMGより強い相関を示した.
2. 泌尿器科額域の悪性疾患, 特に腎細胞癌症例では, 血中BMGのみならず, 血中AMGの上昇を認めることがあり, BMGとAMGの同時測定の有用性は必ずしも明らかではなかった.
3. 加齢に伴う腎機能の低下はCcr, 血中BMGに比較し血中AMGでは明らかではなかった.
4. 尿中BMG, AMG, N-acetyl-β-glucosaminidase (NAG) の三者には互いに相関関係はなく, それぞれ異なる尿細管障害の指標と考えられた.