浸潤性膀胱移行上皮癌47症例に対し, 術前照射 (サイクロトロンによる速中性子線910rad/16日間, またはリニアックによるX線3,000rad/14日間) を行い, 根治的膀胱全摘除術および尿路変更術を施行した. 32%に Stage down 効果を認め, これらの症例の予後は Stage down 効果を認めなかったもののそれより良好であった. 大星・下里の分類により組織学的照射効果を判定したところ, Grade IIB または Grade III の著明な効果を49%に認めたが, この効果は予後に影響がなかった. 術前照射施行例の5年生存率はPT0, PTisで100%, PT1: 75%, PT2: 100%, PT3: 47%, PT4: 0%であり, 術前照射を施行する以前の膀胱全摘除施行症例と比較して明らかに改善した.