日本泌尿器科学会雑誌
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抗癌剤単独および抗癌剤と interferon 併用の腎細胞癌に対する in vitro 増殖抑制効果
塚本 泰司熊本 悦明宮尾 則臣大村 清隆山崎 清仁
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1989 年 80 巻 1 号 p. 88-94

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抄録

腎細胞癌に対する抗癌剤と interferon (IFN) との効果をとくに両者の併用効果を中心に in vitro 抗癌剤感受性試験を用いて検討した. In vitro 抗癌剤感受性試験の方法としては colony formation assay (CFA),〔3H〕-thymidine incorporation assay (〔3H〕-TdR assay) を用いた. 4例の腎細胞癌, 5株のヌードマウス可継代株を用い両方法による結果を比較したが, これらは互いに類似し, 良好な相関を示した (r=0.97, p<0.01).
既述の in vitro 抗癌剤感受性試験 (CFAおよび〔3H〕-TdR assay) における“感受性”薬剤の基準を用いると, 24例の腎細胞癌組織の延べ63薬剤に対する感受性は, 5薬剤, 7.9%に認められたのみであった. これは, これまでの他の報告と同様の結果であった.
ヒト腎細胞癌株 (SMK-R2) に対する抗癌剤, HLBIおよび両者の併用効果の検討では, VBL, MTX, HLBIのそれぞれが濃度依存的に〔3H〕-TdR uptake を抑制した. 抗癌剤とHLBIの併用では, Valeriote, Lin の定義に従えば, VBL 0.05μg/mlとHLBI 102, 103IU/mlの併用で subadditive effect が, MTX 0.1μg/ml, HLBI 102IU/mlの併用で synergistic effect が認められた. 特に, synergistic effect が, 臨床的に到達可能な濃度において認められたことは臨床検討に際して重要な点であると思われた.

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