日本泌尿器科学会雑誌
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圧電式砕石装置 (Piezolith 2200) を用いた体外衝撃波による上部尿路結石破砕術の経験
朝蔭 裕之東原 英二阿曽 佳郎
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1989 年 80 巻 4 号 p. 582-590

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抄録

第2世代のESWL (西独ウルフ社製 Piezolith 2200) による臨床治験を施行した. 1987年12月より1988年3月までに東京大学泌尿器科を受診した上部尿路結石患者32名, 48結石を対象として計59回のESWLを施行した. 治療は無麻酔で行い, 治療中に鎮痛剤を必要とした症例はなかった. 尿管結石例および大きな結石6例で術前にダブルJ尿管ステソトの留置を行い, 2例で治療後TULを施行した. 最終治療後3週目のレントゲン撮影で完全に残石のないものが13例 (40.6%), 5mm以下の破砕片の残っているものが9例 (28.2%) であった. 治療後3週目の時点で有用と判定された症例は71.9%であった. 今回の治験で重大な合併症はなく, 全例に治療後数日間の肉眼的血尿を認め, 発熱は4例 (12.5%) に, 側腹部痛は7例 (21.9%) に認められた. 治療前後の臨床検査値には軽度の一過性変化を認めたが, スパーク・ギャップ方式の砕石装置に比しより軽度であった. Piezolith 2200を用いた体外衝撃波砕石後は上部尿路結石症患者の治療法として有用であり, 臨床的に第1世代の砕石装置より一層安全であると言える.

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