日本泌尿器科学会雑誌
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脳性麻痺患者の排尿機能障害に関する臨床的検討
横山 修長野 賢一平田 昭夫久住 治男泉田 重雄
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1989 年 80 巻 4 号 p. 591-595

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抄録

脳性麻痺患者132例 (5歳~59歳, 平均年齢23.2歳) を対象として, 尿失禁, 排尿困難, および過去1年間の尿路感染の有無について調べた. また患者を移動能力に従って分類し, 尿失禁, 排尿困難との相関について検討した. その結果, 尿失禁, 排尿困難, 尿路感染はそれぞれ31.8%, 14.4%, 16.7%に認められた. 尿失禁は10歳以上の各年齢層で平均してみられたが, 排尿困難は年齢が高くなるにつれ高頻度に認められた. 移動能力の悪い症例ほど尿失禁, 排尿困難を有する頻度が高かった.
泌尿器科外来を受診した30例に関しては, 脊椎疾患の有無により2群に分類し, urodynamic study の結果を各群間で比較検討した. その結果, 脊椎疾患合併群の15例中9例に外尿道活約筋筋電図上, 排尿筋活約筋協調不全が認められ, そのうち6例に排尿困難がみられた. 一方, 脊椎疾患非合併群では排尿筋活約筋協調不全は認められなかった. したがって, 脳性麻痺患者にみられた排尿困難は, 脊椎疾患による排尿筋活約筋協調不全に起因するものと考えられた.

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