日本泌尿器科学会雑誌
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Le Duc-Camey 法による尿管回腸逆流防止移植術の検討
山本 秀伸長浜 貴彦宍戸 清一郎大東 貴志早川 邦弘山本 正萩原 正通中薗 昌明
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1989 年 80 巻 9 号 p. 1367-1373

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抄録

直接的な尿管回腸逆流防止術である Le Duc-Camey 法を, 回腸利用の各種尿路再建術に適用し, その臨床的検討を行った. 対象は1987年3月より1988年8月までの期間に手術を施行した, 回腸導管造設例4例, Kock パウチ造設例5例, Goodwin 回腸膀胱形成例1例の計10症例 (男性8例, 女性2例) 19尿管で, 平均年齢は61.7歳, 術後観察期間は平均13.9ヵ月であった. Le Due-Carney 法の概要は以下のとおりである. 回腸長軸に沿って粘膜に3cmの溝を形成し, 尿管を回腸腔内に通した後, この「粘膜溝」に植え込むように, 3-0吸収糸で尿管外膜と回腸粘膜を両縁とも3針ずつ縫合した. 尿管末端上壁に3mmの長軸切開を加え, 尿管全層と回腸粘膜を3-0吸収糸で3針縫合し, 尿管口を形成した. 尿管には径7~8Frのステント・カテーテルを留置した. Kock パウチ造設例と Goodwin 回腸膀胱形成例では, 回腸の外側からも, 尿管外膜と回腸漿膜を両縁1針ずつ縫合を加えた. また Kock パウチ造設例では直接的な尿管回腸逆流防止術をパウチ部で行うことにより, 輸入脚は作製しなかった. 術後, IVPおよび導管造影, パウチ・グラム, 膀胱造影を経時的に施行して, 手術成績に対するレントゲン学的検索を行ったが, 全例で回腸尿管逆流を認めず, 上部尿路も術前より右水腎症を呈していた Kock パウチ造設例の1例を除き, 良好に保たれていた. 以上より Le Duc-Camey 法の臨床的有用性が確認された.

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