日本泌尿器科学会雑誌
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除脳ネコの橋における蓄尿機構に関する研究
松崎 章
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キーワード: , 蓄尿機構, 青斑下核
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1990 年 81 巻 5 号 p. 672-679

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抄録

除脳ネコを使用して, 橋における蓄尿機構の解明を目的として実験を行った. 吻側部橋に微小電気刺激を行い, 外尿道括約筋の活動のみが増強する部位を検索した. 続いて, その部位に対する持続的電気刺激と carbachol, noradrenaline, enkephalin および抑制性アミノ酸の γ-amiobutyric-acid (GABA) の微量注入による化学的刺激が, 生理的食塩水の膀胱内注入により誘発した反射性排尿に及ぼす効果を検討した. 組織学的には, 電気的および化学的刺激した部位は青斑下核であった. 膀胱空虚時に青斑下核を電気刺激すると, 外尿道括約筋の活動が増強し, 持続電気刺激では, 膀胱収縮の出現が抑制され, 膀胱容量が増加した. 一方, この部位に carbachol, noradrenaline および enkephalin を微量注入すると膀胱容量が増加し, GABAでは膀胱容量が減少した. 以上から青斑下核には choline, noradrenaline, enkephalin およびGABA受容性細胞などが存在し, 青斑下核の興奮は外尿道括約筋を収縮させるだけでなく, 膀胱容量を増加させることにより蓄尿機構に関与していると考えられた.

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