日本泌尿器科学会雑誌
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前立腺癌の組織像及び組織の腫瘍マーカー (PSA (Prostate Specific Antigen)・PAP (Prostatic Acid Phosphatase)・γ-Sm (γ-Seminoprotein)・Leu-7) と臨床経過の関連性に関する検索
棚橋 豊子難波 克一村尾 烈
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1990 年 81 巻 5 号 p. 680-685

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抄録

再燃前立腺癌に対する治療の反応性を検討する目的で, 前立腺癌患者の内分泌療法前, 及び内分泌療法に抵抗性となった時点での前立腺組織について, 病理組織学的分化度, 細胞形態, 前立腺のマーカーとされているPAP, PAγ-Sm, Leu-7の陽性率を検索し, 臨床経過との相関を検討した.
1981年から1988年までに当科を受診し, 内分泌療法前及び内分泌に抵抗性となった時点での組織学的検討がなされた9例の前立腺癌患者を対象とした.
結果は, Group I (細胞形態が変り, マーカー陽性率の低下するもの) は内分泌療法感受性期間が短く, 化学療法に対する反応性が乏しく, 早期に死亡する群, Group II (細胞形態は変らず, マーカー陽性率の低下するもの) は内分泌療法感受性期間が長く, ゆっくりと進行してゆく群, Group III (細胞形態は変らず・マーカー陽性率も変らないもの) は内分泌療法非感受性となった時点で化学療法あるいは放射線療法に反応する群と分類され, 細胞形態, マーカー陽性率の変化による分類により再燃前立腺癌に対する治療法の選択, 予後の予測が可能であることが示唆された.

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