日本泌尿器科学会雑誌
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腎盂尿管腫瘍47例の臨床的検討
後藤 章暢郷司 和男武中 篤荒川 創一浜見 学藤井 昭男松本 修前田 盛守殿 貞夫
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1990 年 81 巻 7 号 p. 1002-1009

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抄録

1980年1月より1987年12月までの間に, 当科で入院治療を行った腎盂尿管腫瘍47例の臨床的検討を行った. 年齢は38歳から81歳 (平均65歳), 性比は約3:1と男性に多かった. 47例の内訳は腫盂腫瘍24例, 尿管腫瘍20例および腎盂尿管腫瘍が3例, 患側は右側19例, 左側27例および両側1例であった. 主訴は血尿が最も多く40例 (85%) であった. 初発症状出現より1ヵ月未満に受診したものが9例 (19.1%) であった排泄性腎盂造影で陰影欠損を21例 (47.1%), 患側腎描出不能を15例 (33.8%) に認めた. 尿細胞診は全例に施行し, 44.7%の陽性率であった. 45例に観血的治療が施行され, 腎尿管全摘除術+膀胱部分切除術が30例 (66.7%), 腎尿管摘除術が9例 (20%) であった. 病理組織学的には, 移行上皮癌43例, 扁平上皮癌2例および両者の混在型が2例であった. 術後膀胱内再発を8例 (17.7%) に認めた. 全体の1, 3および5年生存率を Kaplan-Meier 法により算出すると, 各々80.2%, 41.1%および41.1%であった. 初発症状出現から受診までの期間, 腫瘍の Grade および Stage ならびにリンパ節転移の有無が, 重要な予後決定因子と考えられた.

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