日本泌尿器科学会雑誌
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表在性膀胱腫瘍の再発予防効果に関するBCG膀胱内注入療法の検討
山本 正萩原 正通中薗 昌明山本 秀伸
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1990 年 81 巻 7 号 p. 997-1001

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抄録

BCG膀胱内注入療法の表在性膀胱腫瘍に対する再発予防効果について検討する目的で, prospective randomized study をおこなった. 経尿道的切除後の初発性表在性膀胱腫瘍44例についてBCG非投与群 (21例) と投与群 (23例) に randomize した. 投与法は Tokyo strain BCG 80mgを1週毎6回, 2週毎6回, 1ヵ月毎20回の膀胱内投与を原則とした. 投与群では, 6ヵ月後に3例, 9ヵ月後に1例再発を認めたが, 平均20.3ヵ月の経過観察期間で, 19例では再発がみられなかった. 一方, 非投与群では, 3ヵ月後に3例, 6ヵ月後に5例, 9ヵ月後に2例, 12ヵ月後に3例, 21ヵ月後に1例再発がみられ, 平均32.3ヵ月の経過観察期間で再発がみられなかったのは7例のみであった. 投与群の1年および2年再発率 (18.4%, 18.4%) は, 非投与群 (63.2%, 68.6%) に比して有意に低値を示した. 本療法に起因する合併症は, 膀胱炎76.2%, 熱発13.0%, 肉眼的血尿13.0%であった. 多くは self-limited であり, 投与中止となったのはわずか2例のみであった. これらのことから, BCG膀胱内注入療法は表在性膀胱腫瘍の再発予防に有効と考えられた.

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