日本泌尿器科学会雑誌
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男子不妊症の治療学的検討
Clomiphene Citrate 投与による精漿 transferrin 上昇度と Sperm Count 改善度との関連性
高木 良雄熊本 悦明伊藤 直樹南部 明民立木 仁三熊 直人赤樫 圭吾丸田 浩
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1990 年 81 巻 7 号 p. 1017-1024

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抄録

男子不妊症のクエン酸クロミフェン投与による Sertoli 細胞機能の変化について検討するため, この薬剤で治療した乏精子症 (精子数20×106/ml未満) 22例, subnormal 症例 (精子数20~39×106/ml) 14例について精子数および精漿中 transferrin の変化について検討した. クエン酸クロミフェンは1日25mgを3ヵ月以上連日経口投与した. 治療後に精漿中 transferrin が1.5倍以上上昇した症例では6例中4例 (66.7%) で精子数の改善 (精子数10×106/ml以上の増加) が認められた. 精漿中 transferrin が1.5倍未満の上昇しか認められない症例では30例中12例 (40%) で精子数の改善が認められた. また治療後に精漿中 transferrin が1.5倍以上上昇した症例では上昇の認められない症例と比較して治療後の血清FSHが高値を示す傾向が認められた. 以上よりクエン酸クロミフェン投与により精子数が改善する症例ではFSHの上昇によって Sertoli 細胞機能が刺激され賦活化することが示唆された.

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