日本泌尿器科学会雑誌
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家兎前立腺自律神経受容体に及ぼす加齢の影響
森田 隆近藤 俊
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1990 年 81 巻 7 号 p. 1025-1030

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抄録

加齢によって前立腺の自律神経受容体がどのように変化するのかを検討するために, receptor assay 法を用いて, 若齢, 老齢家兎の前立腺の自律神経受容体 (交感神経α1, α2およびβ受容体, 副交感神経ムスカリン受容体) を定量した. Ligand として, 3H-Prazosin (3H-PZ), 3H-Yohimbine (3H-YOH), 3H-Dihydroalprenolol (3H-DHA), 3H-Quinuclidinylbenzilate (3H-QNB) を使用した.
それぞれの ligand について家兎前立腺には単一の結合部位が存在することが判明した. 四つの自律神経受容体の量的分布の比率は若齢群と老齢群との間で異なっており, 若齢群ではα1=muscarinic>α2>βであり, 老齢群ではα1>muscarinic>α2>βであった. 交感神経α1, α2受容体は若齢より老齢家兎前立腺に多い傾向が認められた. 交感神経β受容体, 副交感神経ムスカリン受容体総量には年齢差は認められなかった. 従って, 前立腺においては加齢によって自律神経受容体の量が有意に増加することはなく, 量的分布が影響を受けることが示唆された.

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