日本泌尿器科学会雑誌
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腎盂尿管腫瘍50例の遠隔成績
横山 正夫河合 弘二東海林 文夫柳澤 良三金村 三樹郎北原 研藤戸 収作
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キーワード: 腎盂腫瘍, 尿管腫瘍, 生存率
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1990 年 81 巻 7 号 p. 1031-1038

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抄録

1966年~1982年の間の東京大学付属病院分院における20例及び1977年~1987年の間の虎の門病院における30例, 計50例の腎盂尿管腫瘍の治療成績について報告した. 男42, 女8 (性比5.3:1) で平均年齢は61歳であり, 部位は腎盂31, 尿管15, 腎盂尿管4で患側は左33, 右16及び両側1であった. 86%に肉眼的血尿を認め, IVP所見は陰影欠損 (42%) 及び無機能腎 (33%) が多かった. 尿細胞診は25例中12例 (48%) で陽性であった. 手術は47例に行われ, 内訳は腎尿管全摘除術+患側後腹膜リンパ節郭清術26, 腎尿管全摘除術+膀胱全摘除術3, 腎尿管全摘除術7, 腎摘除術9, 腎部分切除術1, 尿管部分切除術+尿管尿管吻合術1であった. 組織学的には全例移行上皮癌で, 手術例の1年, 3年, 5年生存率 (カプラン・マイヤー法) は各々84.2%, 73.1%, 69.4%であった. 腫瘍の深達度と悪性度は予後と相関し, リンパ節郭清でのN因子は最も予後に影響した. 非手術例3例中2例は5FU内服, 1例はCAP療法で治療されたが2例は癌死し, 1例は追跡不能であった. 全身化学療法は9例に施行され, 内訳はCDDP単独投与1, CAP療法8, CAP及びMVAC療法1であった. 遠隔転移3例に対する効果はNC1, PD2であり, 全例癌死した. 両側例1例は1側の腎部分切除後, 化学療法が施行され効果はNCで3年8ヵ月生存している. 5例には術後補助化学療法として施行され平均観察期間3年で再発を認めない. 44例中11例は膀胱内に再発し, 55%は術後1年以内に再発した.

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