1990 年 81 巻 7 号 p. 988-992
膀胱腫瘍患者でリンパ造影後, リンパ廓清を施行した51例について検討を加えた. リンパ造影有所見例は22例, 無所見例29例, 内病理学的に転移が認められたのは7例であった.
病理学的に, リンパ節転移を認めた群の主たるリンバ造影所見は陰影欠損85.7%, 副行路57.4%であり, 多変量解析数量化理論IIIにて, 両者の出現の仕方に相関性を認めた.
リンパ造影において, 敏感度87.5%, 特異度65.1%, 正診率68.6%であり, 他の報告例と比べ十分に高い正診率とはいえなかった. このことより, 膀胱腫瘍に対するリンパ造影の意義は大きいが決定的な方法でなく, リンパ造影後のCTなどを加えた総合画像診断の立場から判断しなければならないと思われた.