日本泌尿器科学会雑誌
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BBN誘発マウス膀胱癌に関する研究
Freund Complete Adjuvant の発癌抑制効果と宿主免疫能の変化について
斉藤 文志郎大橋 立彦富樫 正樹小柳 知彦
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1990 年 81 巻 7 号 p. 993-996

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抄録

BCGに対し感受性が低いA/J系マウスと感受性が高いC57BL/6系マウスに対し, BBN誘発膀胱発癌実験を行ない, BCG死菌を含む Freund の完全アジュバント (FCA) による発癌抑制効果と宿主免疫能の変化を検討し, 以下の結果を得た.
1. FCA非投与群の発癌率はA/J系54.5%, C57BL/6系90.9%と, 2系統間で発癌率に有意差を認めた.
2. FCA投与群の発癌率はA/J系45.5%, C57BL/6系18.2%であり, C57BL/6系で発癌抑制効果を認めた.
3. 細胞性免疫能の指標である Footpad 反応は, A/J系においてFCA投与群・非投与群各々11.3±1.27%, 10.2±0.99%と有意差を認めなかったが, C57BL/6系では46.2±6.01%, 11.1±1.29%とFCA投与群で有意に亢進していた.
以上よりマウスBBN誘発膀胱癌の発癌率は系統間差があり, FCAによる発癌抑制効果・宿主免疫能変化も異なることが判明した.

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