日本泌尿器科学会雑誌
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カテーテル留置および間欠自己導尿と尿感染
折笠 精一今井 克忠猪狩 大陸木村 正一鈴木 康義福士 泰夫福崎 篤吉川 和行目時 利林也棚橋 善克桑原 正明
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1991 年 82 巻 11 号 p. 1807-1816

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抄録

カテーテルの尿道留置により尿感染が生じ, かつ継続する理由は次ぎの通りである. 1) 尿道とカテーテルの隙間を細菌が上昇する. 2) 侵入した細菌は, カテーテルおよび持続導尿システムに容易に付着し増殖する. 3) カテーテル先端には色々な付着物が付いて細菌の良い培地となり, 細菌の供給源となる. 4) 導尿チューブ内に流れがないと桿菌はゆっくりと上昇し, 流れがあると上昇しないが, 気泡の動きとともに急速に逆流する.5) 持続導尿中といえども平均7.3mlの残尿がある. 6) カテーテル (異物) は, 膀胱の感染防御機構を破壊する.
一方, 清潔間欠自己導尿 (CIC)は, 非無菌操作にもかかわらず尿感染が生じない. その理由は, カテーテル留置に伴う欠点がないことに加えて, 排尿障害により低下した膀胱の感染防御機構を改善することによる. 導尿操作に伴う細菌感染は, 残尿なく測期的に導尿 (4~5時間以内) すれば問題とならない. しかし, 残尿は尿感染の最も大きな要因なので, 膀胱に肉柱形成や憩室が出来る前にCICを開始すべきであり, 導尿後の残尿測定は正しい導尿指導に役立つ.

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