日本泌尿器科学会雑誌
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前立腺癌骨転移病変の骨単純X線像
比嘉 傳秋元 晋井坂 茂夫島崎 淳後藤 澄雄
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1991 年 82 巻 5 号 p. 734-743

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抄録

骨転移を有する前立腺癌の転移病変について骨単純X線像にてその所見を分類し, 内分泌療法後の経過をあわせて検討した. 81例の症例について骨病変の骨単純X線像所見を, 1) 造骨型, 2) 造骨主体混合型, 3) 破骨主体混合型, 4) 破骨型および, 5)骨シンチグラフィーでは陽性であるが骨単純X線像にて病像をつかめない未変化型の5型に分類した結果, 1) 15%, 2) 31%, 3) 17%, 4) 10%, 5) 27%であった. 2) と3) の混合型の2型は骨転移巣の拡がりが他の型よりも大きく, 前立腺酸性ホスファターゼは高い傾向を示した.
治療後に造骨性病変の一過性増大がみられ, これは増悪とはいえなかった. 時間経過とともに治療効果の有無と関係がなく破骨性病変より造骨性へと変化し, これが病勢とともに繰り返されるとみなされた. 破骨性病変の増大は病勢の増悪を示した. 骨病変中に骨梁が再形成されるときは治癒的変化であり, 予後が良好であった. 治療前の病型で混合型の2型は, 予後が悪い傾向を示した.
骨梁化, 骨病変の数および拡がりの変化, 新病変の出現を基準とした治療効果判定は予後との相関を示した.
以上より前立腺癌骨病変は治療効果と関係なく破骨性より造骨性に向かい, これが繰り返され進展すること, さらに造骨性が骨梁化したとき, 治癒的病変であることが観察された.

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