日本泌尿器科学会雑誌
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片側性停留睾丸の造精機能
角谷 秀典始関 吉生小竹 忠高原 正信島崎 淳
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キーワード: 停留睾丸, 妊孕性, 造精機能
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1991 年 82 巻 5 号 p. 744-749

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抄録

片側性停留睾丸の妊孕性については, 十分に解明されていないため, 本症の造精機能について検討した. 千葉大学泌尿器科にて術後経過をみている17歳以上に達した片側性停留睾丸固定術後の20例と17歳以降まで放置しその後手術した片側性停留睾丸18例の計38例を対象とした. この38例について手術時年齢, 健側および患側睾丸容積, 精液所見, 血清LH・FSH・テストステロン値について相互の関係を観察し, 本症の造精機能についての因子を検討した. 精子濃度は手術時年齢が上がると低下した. 睾丸容積は, 手術時年齢の上昇とともに低下する傾向をみとめたが, 健側でとくに顕著であった. 精子濃度は, 検査時において血清FSHの上昇とは逆の関係をしめした. 健側または患側の睾丸容積が大きくなるにつれ精子濃度も高値となり, さらに両側睾丸容積の和は精子濃度ともっともよく関連していた. 血清LH・FSH値は健側睾丸容積の低下により上昇した.
以上より, 片側性停留睾丸の造精機能は, 手術時年齢・健側睾丸の発達により依存していると考えられ, 患側睾丸への障害のみならず, 停留睾丸を放置することによる健側睾丸への障害が示唆された.

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