日本泌尿器科学会雑誌
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尿路結石症における尿細胞診
中津 裕臣正井 基之岡野 達弥井坂 茂夫島崎 淳松嵜 理堀内 文男
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1991 年 82 巻 8 号 p. 1281-1285

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抄録

昭和55年1月より平成2年6月までに千葉大学医学部附属病院泌尿器科を受診した上部尿路結石症患者1,415例の内, 尿細胞診を施行した1,032例を対象とし, 尿路結石症患者の尿細胞診に関する検討を行った. これらは, 男性724例, 女性308例で, 平均年齢は44歳であった. 細胞診の平均施行回数は2.2回であった. 細胞診陽性は5例 (0.5%) にみられ, 内1例に腎盂癌の合併を認めた. 偽陽性は, 4例 (0.4%) で, これらの結石消失後の尿細胞診は全て陰性であった. 細胞診陽性の腎盂癌1例の他, 細胞診疑陽性の1例, 細胞診陰性の2例に腎盂癌を見い出し, 全てサンゴ状結石合併の水腎症で, 細胞診陰性例中1例は腎摘時, 他はPNLにより診断された. 以上より, 高度の水腎症を伴い結石における細胞診の重要性が強調された.

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