1992 年 83 巻 3 号 p. 328-333
ヒト正常前立腺および肥大症前立腺の被膜, 腺腫, 尿道のα1, α2-receptor を測定した. 正常群, 肥大症群いずれにおいてもα1, α2-receptor は共に腺腫で最も多く, 被膜, 尿道の順であった. また, いずれの部位のα1, α2-receptor でも正常群より肥大症群で多かった. 正常群, 肥大症群のいずれにおいても腺腫ではα1-receptor とα2-receptor がほぼ等量に存在したが, 被膜と尿道ではα2-receptor よりα1-receptor の方が多く存在した.
これらの事実は, 前立腺には元来α1-receptor だけでなくα2-receptor も多く存在し, 肥大症前立腺ではそれらが共に腺腫, 被膜, 尿道のいずれの部位でも有意に増加することを示唆している.