日本泌尿器科学会雑誌
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進行性尿路上皮癌に対する Methotrexate/5-Fluorouracil 時間差投与, Doxorubicin, Cisplatin を用いた多剤併用化学療法の効果
西山 勉笹川 亨谷川 俊貴片山 靖士川上 芳明冨田 善彦照沼 正博木村 元彦佐藤 昭太郎中村 章大沢 哲雄峰山 浩忠
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1992 年 83 巻 3 号 p. 352-357

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抄録

進行尿路上皮癌患者で評価対象病変のある患者20例を対象に Methotrexate (MTX)/5-Fluorouracil (5Fu) 時間差投与, Doxorubicin (ADM), Cisplatin (CDDP) 多剤併用化学療法 (MFAP療法) を行った. 症例により抗癌剤投与終了後から Dypyridamol の投与を行った. 性別は男14例, 女6例で年齢は39~86歳で, 平均66.0歳であった. 原発腫瘍は膀胱癌が15例, 腎盂尿管癌が5例であった. 組織型は腺癌が1例で, 他の19例は移行上皮癌であった. 組織学的悪性度は移行上皮癌ではG2が4例, G3が15例であった. 腺癌は低分化型腺癌であった. 進行膀胱癌の術前化学療法として行われたものが7例, 原発巣摘除後の再発が3例, 転移巣を有する症例または手術不能症例が10例であった. 施行回数は1回から4回で平均2.8回であった. 治療成績は奏功度ではCR 7例35%, PR 7例35%, NC 6例30%であった. PR以上の奏功率は70%であった. 投与量を減量しなかった症例では奏効率80%と高率であった. 臨床的効果と病理組織学的効果とは相関を認めた. 生存率では投与量を減量しなかった群で生存期間が延長する傾向が認められた. 副作用は貧血, 白血球減少, 血小板減少, 悪心嘔吐, 下痢, 脱毛, 呼吸器障害, 口内炎, 耳鳴, 難聴などであった. MFAP療法は進行性尿路上皮癌に対していままで報告されている療法以上に有用な化学療法と思われる.

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