日本泌尿器科学会雑誌
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前立腺肥大症に対する局所温熱療法の治療経験
吉井 慎一藤井 徳照斉藤 隆山本 隆次石田 規雄細井 康男田原 達雄
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1992 年 83 巻 3 号 p. 374-382

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抄録

前立腺肥大症 (全症例35, 年齢は45歳から88歳, 平均67.5歳) に対して, プロスタサーマーを用いた局所温熱療法を施行した. 治療中止2例と, 治療前カテーテル留置例3例を除いた30例で, 治療効果判定を行った. 治療は1回1時間, 週2回, 計6回施行した. その結果自覚症状の改善が認められ, 特に夜間頻尿, 残尿感の改善率がそれぞれ70.0%, 70.7%と比較的良好であった. 排尿回数は夜間, 昼間とも, 治療後に統計学的に有意に減少していた (P<0.01). 他覚的所見では, 残尿率が30例中19例で改善しており, 尿流量試験において最大尿流量率が治療後に統計学的に有意に上昇していた (P<0.05). 合併症は尿道出血3例, 精巣上体炎1例, 膿尿1例の5例で認められたが, それらはカテーテル挿入によるものと思われた. 自覚症状を中心に他覚的所見を加味した有用性を検討したところ, かなり有効以上が17例 (約57%), やや有効以上が25例 (約83%) であった. 以上より本治療法は, 前立腺肥大症の治療の1つとして有用であると考えられた.

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