日本泌尿器科学会雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
ISSN-L : 0021-5287
尿膜管腫瘍を疑わせた pelvic fibromatosis の1例
井内 裕満金子 茂男徳中 荘平八竹 直藤沢 真村岡 俊二高橋 達郎
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 84 巻 2 号 p. 386-389

詳細
抄録

pelvic fibromatosis は骨盤腔の筋腱組織から発生する稀な良性軟部腫瘍である.
症例は36歳男性. 1989年6月に右下腹部痛と右下腹部腫瘤を主訴に当科を受診した. 触診上手拳大で圧痛を認めない可動性不良な腫瘤を右下腹部に触れ, 腹部CTおよび腹部超音波検査にて膀胱に接した腹部腫瘤を認めた. 膀胱鏡検査にて膀胱頂部に小指頭大, 非乳頭状腫瘤を認めた. 腹部CT, 超音波検査, 膀胱鏡所見より尿膜管腫瘍を強く疑い, 根治的腫瘤切除術を行った. 病理検査の結果 pelvic fibromatosis と診断した. 本症は高い再発率を示すが, 本例は術後14ヵ月経過したが再発を認めていない. 我々は, 尿膜管腫瘍と鑑別が困難であった非常に稀な pelvic fibromatosis の1例を報告した.

著者関連情報
© 社団法人 日本泌尿器科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top