日本泌尿器科学会雑誌
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Deoxymethylspergualin (MeDSG) の in vitro における免疫抑制作用機序の検討
植村 匡志
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キーワード: 免疫抑制剤
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1993 年 84 巻 7 号 p. 1301-1307

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抄録

日本で新しく開発された免疫抑制剤の Deoxyspergualin (DSG) の in vitro での免疫抑制作用機序について検討した. DSGは水溶液中で不安定であり, 容易に2つの成分に分解され薬理作用を失うため, DSGのメチル体であり, 水溶液中で安定している Doxymethylspergualin (MeDSG) を今回の検討に使用した. 対象は正常ヒト末梢血リンパ球と当教室で樹立した T cell clone を使用した. MeDSGはMLRを用量依存的に抑制した. CsAとは異なり薬剤の添加を3日後に遅らせた場合もMLRを用量依存的に抑制したが, 4日目に遅らせた場合にはその抑制効果は消失していた. MeDSGは, 細胞障害性T細胞 (CTL) が誘導されていると考えられる2ndMLRを抑制せず, helper T cell clone の増殖も抑制しなかった. IL-2R, DR抗原の発現に対しても抑制効果を示さなかった. 免疫反応におけるCTLの分化, 活性化に必要とされる各種のサイトカインであるIL-1, IL-2の産生は抑制しなかったが, IFN-γでは1μg/mlでのみ抑制効果を示した. MeDSGのCTLの分化, 活性化の抑制はIFN-γの機能抑制が深く関与しているものと考えられた.

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