日本泌尿器科学会雑誌
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精巣腫瘍における globotriaosylceramide (Gb3) の免疫組織化学的検討
大山 力折笠 精一川村 貞文佐藤 信鈴木 謙一斎藤 誠一福士 泰夫吉川 和行星 宣次
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キーワード: Gb3, 精巣腫瘍, 免疫組織化学
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1993 年 84 巻 7 号 p. 1308-1315

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抄録

anti-Gb3 monoclonal antibody である1A4を用いて, 精巣腫瘍及び各種正常組織における免疫組織化学的検討を行った. ホルマリン固定パラフィン包埋切片31例では, Gb3は精巣胚細胞腫瘍のすべての element に陽性例が認められ, 特にセミノーマ (16例), 胎児性癌 (6例) では全例陽性であった. これに対し, 精巣悪性リンパ腫の4例はすべて陰性であり, 又, 正常組織においては, 精巣組織肝, 腎, 膵, 脾, 回腸, 直腸に極めて弱い染色性を認めたにすぎなかった.
精巣胚細胞腫瘍組織10例の凍結切片においては, 風乾のみによる固定, アセトン10分, 4%パラホルムアルデヒド固定が各々, ホルマリン固定パラフィン包埋切片と同様の陽性率を呈した. しかし, 染色性の強さを比較すると, 4%パラホルムアルデヒド固定, 風乾のみ, アセトン10分, ホルマリン固定パラフィン包埋切片の順に高く, 抗原性の保持には, 4%パラホルムアルデヒドによる固定がもっとも優れていることがうかがわれた. さらに, アセトン30分, 90%エタノール10分固定, クロロホルム: メタノール (2:1, v/v) 10分固定では染色性は著しく低下したことより, Gb3は主として糖脂質の形で存在するものと考えられた.
Gb3は精巣胚細胞腫瘍にほとんど例外なく大量に蓄積されており, その抗原性は通常のパラフィン包埋切片のみならず, 凍結切片を用いた迅速な固定操作においても十分に保存されることから, 精巣胚細胞腫瘍の新たなな組織学的マーカーとして有望であると考えられた.

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