日本泌尿器科学会雑誌
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Right Angle Laser Fiber を用いたNd-YAGレーザー照射
犬前立腺に対する実験的研究
西村 清志
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1995 年 86 巻 2 号 p. 290-295

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抄録

14頭の犬前立腺に対し, 米国C. R. BARD社製90°偏光レーザーファイバー (Urolase®) を用いてレーザー照射を施行し, 前立腺組織の経時的変化につき検討した. 雄ビーグル成犬を全身麻酔後, 背臥位に固定したのち, 腹部傍正中切開にて膀胱前立腺を剥離露出した. 前立腺前面を尿道まで正中切開し前立腺部を十分に露出したのち, 前立腺左右両葉に, それぞれ40ワット, 60ワットの出力で, 60秒間レーザーを照射した. 照射後3日, 1週間, 2週間, 4週間, 8週間, 12週間の時点で屠殺し, 前立腺を摘出した. 写真撮影後, 10%ホルマリン溶液に固定し連続刃片を作成した. 照射面より組織欠損の最深部までの距離, 組織欠損部の表面積および体積は照射後12週目に最大値を示し40ワット/60秒照射群では, 4.75±1.25mm, 4.13±1.13cm2, 3.39±1.58cm3であるのに対し, 60ワット/60秒照射群ではそれぞれ5.75±1.25mm, 4.80±1.95cm2, 4.36±1.99cm3とそれぞれの数値は各期間とも60ワット/60秒照射群の方が高値を示した. 病理組織学的には, 照射後1週から4週までは, 脱落面に凝固壊死物質ならびに液化物質の残存を認めるが, 12週目では上皮の再生が確認できることより, およそ8~12週の間に上皮化が完成するものと推測できた.

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