日本泌尿器科学会雑誌
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ヌードマウス可移植性ヒト腎細胞癌株を用いてのサイトカイン産生と悪液質の関連に関する検討
大西 哲郎大石 幸彦飯塚 典男白川 浩波多野 孝史
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1995 年 86 巻 2 号 p. 283-289

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抄録

悪液質様状態を生じるヌードマウス可移植性ヒト腎細胞癌株 (JRC 11) を用いて, 腫瘍の増殖に伴う経時的悪液質様状態の病態に関して検討した.
その結果, 移植腫瘍の増殖に伴い, 末梢血中にヒトIL-6の増加を認めたが, ヒトIL-1β, ヒトTNF-α, ヒトIFN-γは測定できなかった. 同時に, JRC 11株のmRNA level でのIL-6の発現が確認された. また, 宿主であるヌードマウスの腫瘍重量を除いた体重の経時的測定結果, 腫瘍移植後3週目より対照群 (同週齢の腫瘍未移植ヌードマウス) に比較して有意に体重の減少を認めた. しかし, 腫瘍移植後3週目に移植腫瘍を切除した群では, 切除後体重の再増加を認め, 6週目には対照群と有意差を認めないまでに体重が増加すると同時に, 血中にIL-6は認められなくなった. さらに, JRC 11株の肝, 腎, 脾およびヌードマウスの皮下脂肪重量を経時的に測定した結果, 腫瘍移植後3週目以降対照群に比較して有意に減少を認めた.

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