日本泌尿器科学会雑誌
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カラードプラ超音波検査による静脈性インポテンスの検討
陰茎海綿体動脈 Resistance Index の評価
奈路田 拓史山中 正人松下 和弘木村 和哲川西 泰夫沼田 明湯浅 誠田村 雅人香川 征
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1996 年 87 巻 11 号 p. 1231-1235

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抄録

(背景と目的) 静脈性インポテンスは pharmaco-dynamic infusion cavernosometry and cavernosography (pharmaco-DICC) によって診断されるが, 侵襲的検査である. 今回われわれは, 非侵襲的な検査であるカラードプラ超音波検査が, 静脈性インポテンスの診断に有用であるか検討した.
(対象と方法) 静脈性インポテンスを疑う49症例に pharmaco-DICC とカラードプラ超音波検査を行った. Pharmaco-DICC により17例は静脈閉鎖機能正常, 32例は静脈性インポテンスと診断した. 一方, カラードプラ超音波装置にて陰茎海綿体動脈の peak systolic velocity (PSV) と end diastolic velocity (EDV) を測定し, resistance index (RI) をRI=(PSV-EDV)/PSVで求め, RIと pharmaco-DICC の結果を比較した.
(結果) 静脈閉鎖機能が正常な症例のRIは0.895±0.092, 静脈性インポテンス症例のRIは0.742±0.095であり, 統計学的有意差を認めた. さらに receiver-operating-characteristic curve を作成し, cut off 値を0.75と0.90に設定した. 0.90<RIである10例中9例 (90%) は静脈閉鎖機能正常, 0.75<RI≦0.90である17例中7例は静脈閉鎖機能正常, 10例は静脈性インポテンス, RI≦0.75である22例中21例 (95.5%) は静脈性インポテンスであった.
(結論)0.90<RIであれば静脈閉鎖機能正常,RI≦0.75であれば静脈性インポテンスと診断が可能であり, 0.75<RI≦0.90の症例にのみ pharmaco-DICC が必要であると考えられた.

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