日本泌尿器科学会雑誌
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勃起機能温存一期的膀胱尿道全摘術
木原 和徳影山 幸雄北原 聡史辻井 俊彦石坂 和博永松 秀樹森田 隆大島 博幸
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1996 年 87 巻 3 号 p. 676-681

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抄録

(背景と目的) 膀胱癌に対する勃起機能温存一期的膀胱尿道全摘の有用性を検討するため勃起機能の温存率および局所再発の有無を検討した.
(対象と方法) 1991年と1994年に, 計9例の膀胱癌患者に同術式を施行した. 1991年に同術式を2例に施行して2年間経過を観察し, 性交可能な勃起が回復すること, 骨盤内再発が起こらないことを確認した後, 1994年に7例に施行した. 勃起機能は snap gauge バンドを用いて測定した.
(結果) 9例中6例に性交可能な勃起が認められ, うち4例は性交を営んでいる. 残りの3例は弱い勃起を自覚したが性交可能なものではなく, その内1例は勃起時の会陰部痛による勃起不全を訴えた. 術後最初の勃起は3ヵ月から18ヵ月後に認められた. 9例の切除標本の切断端のいずれにも病理組織学的に腫瘍細胞は認められなかった. 9例全例が現在癌無しで生存している.
(結論) 以上より勃起機能温存一期的膀胱尿道全摘は尿道を後に摘除する2期的術式に劣らぬ potency の温存が可能であろうと考えられた.

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