日本泌尿器科学会雑誌
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尿路性器悪性腫瘍患者における尿中ネオプテリン値の検討
浅野 友彦中島 史雄小田島 邦男辻 明早川 正道中村 宏
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1997 年 88 巻 1 号 p. 53-58

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抄録

(背景と目的) ネオプテリンは, 活性化されたT細胞から分泌されるγ-インターフェロンの刺激によりマクロファージから放出が増加することが知られており, T細胞-マクロファージ系の活性化の指標とされている. そのため, ネオプテリンは, 拒絶反応, ウイルス感染症, 自己免疫疾患, 癌患者で上昇することが報告されている. 今回, 尿路性器悪性腫瘍患者の尿中ネオプテリンを測定し, 腫瘍マーカーとしての有用性について検討を加えた.
(方法) 尿路性器悪性腫瘍患者90名, 泌尿器科良性腫瘍患者28名, 正常健康人34名における尿中ネオプテリン濃度を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した.
(結果) 尿路性器悪性腫瘍患者の52%, 泌尿器科良性腫瘍患者の7%において尿中ネオプテリン値は増加していた. 陽性率は, 腎細胞癌患者68%, 腎盂尿管癌患者80%, 膀胱癌患者44%, 前立腺癌患者47%, 精巣腫瘍患者30%であった. low stage 群と high stage 群を比較すると, 腎細胞癌患者 (stage I, II vs. stage III, IV) 及び膀胱癌患者 (Tis-1 vs. T2-4) で両群間の尿中ネオプテリン値に有意 (p<0.0005) に差を認めた. 腎細胞癌患者及び前立腺癌患者では, 尿中ネオプリテン値と異型度との間に相関を認めた.
(結論) 今回の検討の結果, 尿中ネオプテリン値は, 尿路性器悪性腫瘍患者における腫瘍の進展度の把握や経過観察に有用であると思われた.

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