日本泌尿器科学会雑誌
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腎癌肺転移に対する外科治療の検討
星 宣次折笠 精一吉川 和行鈴木 謙一石戸谷 滋人伊藤 明宏近藤 丘今井 克忠木崎 徳鈴木 康義加藤 正和
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キーワード: 腎細胞癌, 肺転移, 肺切除術
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1997 年 88 巻 1 号 p. 46-52

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抄録

(背景と目的) 腎癌肺転移切除例を検討し, その有用性と手術適応を明らかにする.
(対象と方法) 1981年より1994年末までに腎癌肺転移の切除術を行った17例 (男性14例, 女性3例) を対象とした. 肺転移手術時の年齢は, 45歳から73歳で平均年齢61歳. 原発巣術後に肺転移が出現したのが11例, 6例は腎癌診断時肺転移があり, 3例は肺手術を, 3例は腎摘を先行した. 他臓器転移が4例に見られ, 脳転移摘出, 対側腎転移に対する腎部分切除, 胸壁と肋骨転移部切除, 対側副腎転移の切除がそれぞれ行われた. 肺の片側手術例14例, 両側手術例が3例であり, 12例に肺部分切除が行われ, 5例に肺葉切除術が行われた.
(結果) 肺手術後生存期間は10ヵ月から10年9ヵ月で, 肺手術による合併症は認められなかった. 疾患特異的生存率, 無病生存率はそれぞれ5年で55, 48%, 10年で27, 14%であった. 癌なし生存例はすべて10個未満の肺転移例であった.
(結論) 腎癌の肺転移切除により長期生存例が得られ, 症例によっては大変有用であった. 肺転移数が10個未満の症例に予後良好例が認められた.

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