1997 年 88 巻 7 号 p. 694-696
66歳男性での骨転移を有する前立腺癌に対して, 酢酸ゴセレリン3.6mgおよびフルタミド375mgを用いて内分泌療法を開始したところ, 投与7週目に黄疸および重度の肝機能障害を認めた. ただちに治療を中止し, 肝庇護剤による保存的治療を行ったところ, 2ヵ月後には肝機能はほぼ正常値に回復した.
フルタミドによる重度肝機能障害例は0.003-0.18%程度と稀であるものの, 諸外国では死亡例も報告されており, 本剤投与に関しては定期的な肝機能検査などの十分な経過観察が必要と思われた.