日本泌尿器科学会雑誌
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血漿膠質浸透圧測定装置を利用した透析除水中の相対循環血漿量と間質からの血漿補充速度の測定
阿部 良悦若林 庸道竹内 弘幸
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1997 年 88 巻 7 号 p. 684-693

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抄録

(背景と目的) 適切な除水速度の実現により透析中の低血圧を予防する.
(対象と方法) 血漿膠質浸透圧 (以下COP) の連続的測定から, 除水過程における循環血漿量の相対値 (以下%PV) および plasma refilling rate (以下PRR) の経時的な変化を推測した. 透析導入期にある12例における12回の限外濾過と1回の透析を対象に本法を行い, %PVとPRRの変動曲線のパターンを分析し, %PVmin (%PVの最低値), PRRmax (PRRの最大値) および95%t (%PVが95%に達するまでの時間) を求めて, 相互に比較した.
(結果) %PV曲線の初期 (除水開始時) 下降が13例中6例に, またPRR曲線の初期上昇が5例にあり, 両者には密接な関係が認められた. %PVの初期下降があった6例とPRRの初期上昇のあった5例ではいずれもそれらがなかった群に比較して, PRRmax, 95%PVt値および体重は低く, 除水速度が相対的に高かったものと思われた.
除水量が臨床的に適正と判断された9例中8例でPRR曲線の終期 (除水終了時) 下降が認められた. PRR曲線の終期下降がなかった5例中4例では, 臨床的にはさらに平均1.8±1.07kg除水する必要があった.
(結論) 本法が適切な除水速度および除水レベルの設定に有用であることが示唆された.

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