日本泌尿器科学会雑誌
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小児の真性包茎に対する吉草酸ベタメタゾン軟膏の有用性
李 慶寿小泉 貴裕中逵 弘能小島 圭二山本 明川西 泰夫沼田 明
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2001 年 92 巻 6 号 p. 619-623

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抄録

(目的) 小児包茎に対する吉草酸ベタメタゾン含有軟膏の有用性, およびその至適濃度を検討した.
(対象と方法) 1996年8月から2000年5月までに当科を受診した真性包茎の患児69例 (1~12歳, 中央値3歳) を対象とした. 全例にステロイド軟膏を1日に2回, 包皮口狭小部に塗布し最大4週間の治療をおこなった. 使用したステロイド軟膏は吉草酸ベタメタゾン含有軟膏 (リンデロン®VG軟膏) で, また吉草酸ベタメタゾンの濃度は0.12%, 0.05%, 0.025%の3種類に調整したものを用いた. 治療終了後にほぼ完全に包皮翻転可能となったものを著効とした. 外尿道口露出を認めたものを有効とした. 全く変化のないものは無効とした. また治療終了後3カ月目に再発の有無や有害事象の発生について評価した.
(結果) 69例全例で4週間の治療が可能であった. 全体での有効率は85.5%であった. 0.12%, 0.05%, 0.025%軟膏では有効率はそれぞれ96.8%, 82.8%, 55.6% (P=0.0001) であり, 0.12%が最も有効であった. 再発は3例 (4.3%) に認められた. ステロイド軟膏による有害事象を認めたものはなかった.
(結論) 小児包茎に対する吉草酸ベタメタゾン含有軟膏は, 有効で, また合併症もなく, まず第1に行われるべき治療法であると思われる.

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