(目的) 名取市での前立腺癌検診のデータを基に, 検診時PSA値が gray zone であった例を対象としてPSA density (PSAD) を利用する生検対象者絞り込みの有用性について retrospective に検討した.
(対象と方法) 55歳以上の男性希望者を対象とした前立腺癌検診を受診し, 精密検診として経直腸的超音波検査 (TRUS) とTRUS下系統的前立腺生検を受けた者の中で, 検診時PSA値が4.1~10.0ng./mlでPSADを算出できた者を対象とした.
(結果) 118例が対象となり, うち25例が癌であった. 癌例と非癌例の平均PSA値に有意差はなかったが, 平均PSADには有意差を認めた (p<0.0001). PSAとPSADのROC曲線の各AUCは, 0.611と0.830で有意差を認めた (p<0.001). PSADの cut-off 値を0.15とした時の感度, 特異度, 陽性反応適中度, 診断効率は, 88%, 52.7%, 33.3%, 46.4%であるが, 0.18とすると80%, 72%, 43.5%, 57.6%であった. PSADの cut-off 値としては, 診断効率を重視すれば0.18, 感度を重視すれば0.15がよいと考えられた.
(結論) PSA値 gray zone 例におけるPSADを利用する生検対象者の絞り込みは有力な方法と考えられるが, cut-off 値に関しては更に多数例での検討が必要である.
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