日本泌尿器科学会雑誌
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前立腺肥大症患者の治療法別にみた医療費分析
相澤 卓間宮 良美並木 一典大久保 雄平金 泰正荒井 好昭伊藤 貴章三木 誠橘 政昭
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2002 年 93 巻 7 号 p. 736-742

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抄録

(目的) 近年の医療財政の悪化により医療費抑制策が検討されている. 当院で治療した前立腺肥大症患者について医療費を分析し, 手術法の差異なども考慮に入れたうえで, 治療法はいかにあるべきかを検討した.
(対象と方法) 平成6年1月以降に外科的に治療した前立腺肥大症患者95例について, 入院医療費とその後の外来治療に要した外来医療費を, 経尿道的前立腺切除術 (TURP), 経尿道的レーザー前立腺切除術 (VLAP), 前立腺高温度治療 (TUMT) それぞれの治療法別に算出した. 対象症例はTURP 46例, VLAP 31例, TUMT 28例であった. 医療費の算出は診療報酬明細書より行った.
(結果) 手術・麻酔点数を除いたTURP, VLAPの入院医療費は中央値でそれぞれ47,067点, 44,809点で, TUMTは外来治療のみで行った. また, 外来医療費は中央値でTURP 10,103点, VLAP 32,105点, TUMT 14,927点であった. 治療法として最も費用の少なかったものはTUMTであったが, これは外来のみの治療であることによるものであった. しかし, 治療法の変更・再手術を行った症例が数例あり, これらの医療費はTURPやVLAPと同額ないしは高額であった. VLAPとTUMTでは外来において術後にも内服治療が必要な症例がTURP例に比べて多くあり, 外来点数が高くなった.
(結論) 治療法を変更したり, 再手術を行った場合は医療費はかなり増額する. また, 入院医療費は外来医療費に比べて高額であり, 入院治療を行う場合は患者が満足できる完治をめざした治療を目指すよう努力すべきである.

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