日本泌尿器科学会雑誌
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過活動膀胱患者におけるα1受容体遮断薬の併用は生活の質を向上しうるか?
抗コリン剤 (塩酸プロビベリン) 単独群および抗コリン剤α1受容体遮断薬 (ウラピジル) 併用群間の多施設前向きランダム化試験
松山 豪泰清水 芳幸上領 頼啓城甲 啓治島袋 智之須賀 昭信竹本 雅彦井本 勝彦原 好弘山本 憲男金田 芳孝原田 規章内藤 克輔
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2007 年 98 巻 4 号 p. 604-613

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抄録

(目的) 過活動膀胱 (以下OAB) による排尿障害は患者の生活の質を低下させる. 本研究の目的はOAB患者の治療に抗コリン剤とα1受容体遮断薬を併用した際の有用性を明らかにすることである.
(対象, 方法) 合計100名 (男性: 43, 女性: 57, 平均年齢71.3歳) の頻尿 (一日8回以上) および尿意切迫 (週3回以上) を主訴とする患者を2群 (塩酸プロビベリン単独群 [52例] および塩酸プロビベリン, ウラピジル併用群 [48例]) にランダム化した. 一次評価項目として蓄尿症状 (頻尿, 尿意切迫の回数, 切迫性尿失禁) の改善およびキング健康調査票日本語版 (以下KHQ) をもちいた治療前, 治療開始後2週目, 6週目の生活の質 (以下QOL) の改善を比較した. 二次評価項目として両群の有害事象を比較した.
(結果) 頻尿および尿意切迫は治療開始後2週目の時点で治療前と比べ両群とも有意の改善を認めた (それぞれp<0.01, <0.05). しかし2群間に有意差をみとめなかった. QOLの改善に関しては全体の平均スコア, 全般的健康感, 生活への影響, 睡眠・活力のドメインにおいて両群とも治療6週目において治療前と比べ有意の改善を認めた. 有害事象に関しては両群とも有意差をみとめなかった.
(結論) 両群とも有意の蓄尿障害の改善と耐用性をみとめたがα1受容体遮断薬の併用効果は認められなかった.

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