日本泌尿器科学会雑誌
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偶発腎細胞癌の長期予後について
当院健康管理センターで発見された腎細胞癌の臨床的検討
山下 慎一及川 克彦相沢 正孝竹内 晃神山 佳展寺沢 良夫名倉 宏遠藤 希之折笠 精一庵谷 尚正
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キーワード: 腎細胞癌, 健康診断
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2007 年 98 巻 4 号 p. 614-618

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抄録

(目的) 当院健康管理センターで発見された腎細胞癌について病理学的に再評価し, 長期予後との関係を検討した.
(対象と方法) 1987年1月から2005年12月までに当科で診断・治療を行った腎細胞癌症例556例中, 当院健康管理センターの健康診断で発見された56例を対象とした. 臨床病期は2002年のTNM分類, 組織学的分類は2004年のWHO分類に従った.
(結果) 年齢は37から68歳 (中央値54歳), 男性が50例, 女性6例であった. 患側は右側が22例, 左側が34例であった. pT1a: 40例 (71%), pT1b: 13例 (23%), pT2: 2例 (4%), pT3b: 1例 (2%) で, pT3bの1例のみN2M1であった. 術後の観察期間は3から215ヵ月 (中央値121ヵ月), 癌死症例は7例あった. その内訳は, pT1a: 1例 (術後64ヵ月), pT1b: 4例 (47, 91, 119, 163ヵ月), pT2: 1例 (39ヵ月), pT3b: 1例 (13ヵ月) で, pT1a, pT1bの10年疾患特異的生存率はそれぞれ97%, 57% (p<0.01) であった.
(結論) 健診で発見された腎細胞癌の大部分がpT1aであり, pT1aはpT1bに比べ予後良好であった. 腎癌死を減少させるには健診等の腹部超音波検査をさらに普及させ, 早期発見に努める必要があると考えられた.

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