日本泌尿器科学会雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
ISSN-L : 0021-5287
19歳で発症した膀胱結核
我が国の新しい結核医療の基準に沿った尿路結核の治療
金子 卓司工藤 茂高松下 希柏原 裕樹田村 健吉田 郁彦野村 一雄
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 99 巻 1 号 p. 29-34

詳細
抄録

24歳男性. 19歳時より年に数回, 肉眼的血尿と排尿痛の増悪を認めていたが放置していた. 21歳時当科初診し急性膀胱炎の診断で抗生剤を投与された. しかし, 症状持続するも放置していた. 24歳時頻尿増悪し, 紹介医を受診, 難治性のため検査を施行された. 経直腸超音波検査で膀胱壁の肥厚・右側膀胱頚部の陥凹・左膀胱頚部から側壁の腫瘤状所見を認め当科紹介. 紹介医から尿結核菌陽性との報告を受け, リファンピシン (RFP), イソニアジド (INH), ピラジナミド (PZA) の3剤を2ヵ月, 続いてRFP, INHの2剤を4ヵ月投与した. 治療開始1ヵ月後より頻尿が著明に改善され, 4ヵ月後の膀胱容量は420mlであった. 現在外来経過観察中であるが再発を認めていない. 私共が調べ得た限りでは, 自験例は10代発症の尿路結核として1995年以降9例目であった. 結核予防法施行規則第22条の規定により, 結核医療の中核をなす化学療法, 外科的療法等については厚生労働大臣の定める「結核医療の基準」によることとされており, 2004年に改正されている. しかし, 医師の「結核医療の基準」に対する意識の低さが指摘されている. 尿路結核を診る機会が激減した現在, 我々泌尿器科医は尿路結核の治療もこの基準に準拠することを認識しなければならない.

著者関連情報
© 社団法人 日本泌尿器科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top