2012 年 33 巻 1 号 p. 23-34
白内障術後の被写界深度を,共軸回転対称光学系モデルにおいて光線追跡と回折積分と網膜コントスラト感度を用いて計算した。視標の種類(ランドルト環(ラ環),四つの四角を並べた視標(4四角)),視標の大きさ,入射瞳径,矯正方法(眼鏡,コンタクトレンズ(CL),球面眼内レンズ(IOL),非球面IOL),網膜コントラスト感度の影響を調べた。ラ環視標は4四角視標よりも,視標の大きさが大きいほど,網膜コントラスト感度がよいほど,被写界深度は大きかった。入射瞳径が1.5mm前後では被写界深度が大きくピンホール効果が確認された。入射瞳径が2.5mm未満では矯正方法による被写界深度の差はほぼなくなった。入射瞳径が2.5mm以上ではCL,球面IOL,非球面IOL,眼鏡の順で被写界深度は大きかった。球面IOLの計算値は過去の臨床報告とよく一致した。偽調節量は光学的に計算でき,予測可能と考えられた。