視覚の科学
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総説
Video-oculographyの視野計への応用
仲泊 聡寒 重之
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2023 年 44 巻 2 号 p. 25-29

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抄録

Video-oculography(VOG)は,従来の眼球運動計測法であるサーチコイル法に比べて簡便で侵襲性がなく,眼電図に比べ高精度であり,教育や臨床への応用面での優位性が高い。さらに,近年では,定位反射としての眼球運動をVOGで計測し,これを視野検査へ応用する試みが散見される。定位反射の神経メカニズムはまだ不明な点も多いが,意識との関連が強い膝状体系の視覚経路だけでなく,上丘を介する不随意の反射経路の関わりが無視できないとされている。したがって,日常生活や運動機能への視野障害の影響を評価する目的で視野検査を行う場合,固視をし続けながら視標が見えたと意識した時点でボタン押しをするという非日常的な状況で測定する従来の視野検査よりも,VOGを用いた視野検査の方が適している可能性がある。さらには,VOGによる視線計測が,視覚の新たな一面を知る手掛かりを我々に与えてくれるに違いない。

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© 2023 日本眼光学学会
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