視覚の科学
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44 巻, 2 号
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総説
  • 仲泊 聡, 寒 重之
    原稿種別: 総説
    2023 年 44 巻 2 号 p. 25-29
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/21
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    Video-oculography(VOG)は,従来の眼球運動計測法であるサーチコイル法に比べて簡便で侵襲性がなく,眼電図に比べ高精度であり,教育や臨床への応用面での優位性が高い。さらに,近年では,定位反射としての眼球運動をVOGで計測し,これを視野検査へ応用する試みが散見される。定位反射の神経メカニズムはまだ不明な点も多いが,意識との関連が強い膝状体系の視覚経路だけでなく,上丘を介する不随意の反射経路の関わりが無視できないとされている。したがって,日常生活や運動機能への視野障害の影響を評価する目的で視野検査を行う場合,固視をし続けながら視標が見えたと意識した時点でボタン押しをするという非日常的な状況で測定する従来の視野検査よりも,VOGを用いた視野検査の方が適している可能性がある。さらには,VOGによる視線計測が,視覚の新たな一面を知る手掛かりを我々に与えてくれるに違いない。

原著
  • 多々良 俊哉, 前田 史篤, 生方 北斗, 志賀 木綿子, 八百枝 潔, 半田 知也
    原稿種別: 原著
    2023 年 44 巻 2 号 p. 30-34
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/21
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    【目的】測定光の配置が異なる2種の据え置き式および2種の手持ち式ケラトメータを用いて,角膜屈折力の測定値について検討した。

    【方法】対象は屈折異常以外に眼疾患の無い大学生189名(20.2±1.2[平均±標準偏差]歳)の右眼とした。4種類のオートケラトメータを用いて角膜屈折力を求めた。求めた角膜屈折力はパワーベクトル解析を用いて分析した。

    【結果】各機種で測定した平均角膜屈折力はTONOREF IIが43.37,ACOMOREF 2が43.40,Retinomax K+Screeen(RMS)が43.38,Retinomax K-plus3(RM3)が43.49[D]でありRM3が有意に高値であった(p<0.001)。J0も同様にRM3が有意にプラス寄りの値であった(p<0.001)。J45はACOMOREF 2とRM3以外の群間で有意差があった(p=0.002~<0.001)。

    【結論】ケラトメータの機種間の違いによって角膜屈折力に有意差があったが,その差は0.25 D未満であり,臨床上考慮が必要なほど大きくなかった。

  • 金成 慧, 猪股 千聖
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 44 巻 2 号 p. 35-43
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/21
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    瞳孔や視運動性眼振(OKN)は視線位置だけでなく,注意位置の明るさや運動物体に対応して変化する.我々は,この瞳孔反応とOKNを測定することで,人が注意を切り替えたタイミングを推定できることを示した.本研究では,この知見に基づいて,ユーザーが注意を切り替えるだけで文字を入力できる情報入力手法の構築を目的とした.実験1では,運動方向と明るさの異なるランダムドットを重ねて呈示した.実験2では,運動方向と明るさの異なるランダムドットを異なる位置に呈示した.参加者はターゲットとなる文字が呈示されたとき,それと同じ運動方向・明るさのドットに注意を切り替えた.その結果,視線位置にあるターゲット文字に注意を切り替えたときに,ターゲットの運動方向・明るさと対応したOKN・瞳孔反応が生じた.この結果より,視線位置の注意を切り替えることで,OKNと瞳孔反応から文字入力の推定が可能であることが示唆された.

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