抄録
夏季の冷房負荷が大きい太陽光型植物工場への熱駆動の吸収式空調システムの導入を想定し,長期間の実証試験結果に基づいて,冷房運転時のシステムの運転特性と太陽熱エネルギーの利用が性能に与える影響を実験的に調べた.その結果,まず,太陽熱の利用により,通常の都市ガス単独運転時と比べてCOP が20~50%程度向上し1.3 から1.5 となることが分かった.また,太陽熱単独による単効用運転時と,都市ガスのみによる二重効用運転時のデータを抽出し性能を算出した.その結果,太陽熱単独運転時のCOP は0.6 から0.8 程度であること,都市ガス単独運転時のCOP は1.0 から1.2 程度であることを明らかにした.加えて空調負荷の少ない中間期には,COP は最大で1.8 程度を示した.以上より,吸収式冷房システムへの太陽熱導入が効果的であることを実証した.