2019 年 4 巻 2 号 p. 61-69
リボソームはmRNAのコドンを読み取りタンパク質へと翻訳する分子マシーンである.近年,リボソームはタンパク質合成装置としての機能のみならず,リボソームへの結合因子や化学修飾を介して,翻訳制御にも積極的に関与することが報告されている.我々はこのような特殊なリボソームをプロテオームワイドに同定するために,質量分析法を用い,翻訳制御に関与しうる結合タンパク質とリン酸化部位を系統的に同定することに成功した.本稿では,遺伝子からタンパク質に翻訳されるまでの複数の制御レイヤーの全体像を俯瞰しつつ,我々が最近報告したリボソームのリン酸化を介した翻訳制御について紹介する.