日本プロテオーム学会誌
Online ISSN : 2432-2776
ISSN-L : 2432-2776
総合論文
プロテオミクスによる卵巣明細胞癌の新規バイオマーカーLEFTYの同定とその機能解析
松本 俊英川島 祐介小寺 義男三枝 信
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2021 年 6 巻 2 号 p. 51-59

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抄録

卵巣明細胞癌(OCCCa)は抗癌剤療法に低感受性であるため,進行癌における予後は極めて不良である.そこで,我々はホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)病理検体を用いたショットガンプロテオミクス法により,OCCCaの診断や分子標的となるタンパク質を網羅的に解析し,その結果Lefty-right determinant factor(LEFTY)の同定に至った.臨床検体による検索より,LEFTY発現はタンパク質レベル・mRNAレベルともに他の組織型に比してOCCCaで有意に高発現であった.また,OCCCa培養細胞を用いた機能解析の結果,LEFTYはTGF-β/Akt/Snailシグナルを介して上皮間葉転換(EMT)や癌幹細胞(CSC)化を誘導することにより,OCCCaの化学療法抵抗性といった生物学的特性を有する役割を担っている可能性を見出だした.以上,我々はOCCCaにおいてLEFTYが新規バイオマーカーとして有用である可能性とその発現意義を初めて報告した.

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