日本プロテオーム学会誌
Online ISSN : 2432-2776
ISSN-L : 2432-2776
総合論文
糞便中ホストタンパク質解析とその応用
渡辺 栄一郎川島 祐介
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2023 年 8 巻 2 号 p. 53-62

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抄録

近年,急速に発展しつつあるプロテオーム解析技術に着目し,糞便プロテオーム解析技術を独自に構築して,腸内細菌が消化管内溶液に含まれる宿主由来タンパク質に与える影響を検討した.細菌・ウイルス・真菌が存在しない無菌(GF: germ-free)マウスとspecific-pathogen-freeマウスの盲腸内容液をプロテオーム解析で分析した.同定できた713種類のマウス由来タンパク質の中でGFマウス盲腸以遠に多く存在し,炎症性腸疾患やprotease activated receptorを介した炎症カスケードへの関与が示唆されていた消化管酵素のトリプシンに着目した.健康なヒト便を投与したヒト菌叢模倣マウスを用いてトリプシン分解菌の同定を進めParaprevotella claraP. clara)がトリプシン分解菌であることが判明した.P. claraはType 9 secretion system(T9SS)依存的な機構でトリプシンの自己消化を誘導し,経口的に侵入する細菌やウイルスなどの病原体に対する宿主の防御機構を高めている可能性が示唆された.本研究はプロテオミクスが次世代の腸内細菌研究に欠かせいない解析技術であることを示した研究である.

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© 2023 日本プロテオーム学会
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