人口学研究
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論文
わが国の都市人口分布に見られる均質的構造について
鈴木 啓祐
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1982 年 5 巻 p. 49-56

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抄録

都市の順位規模法則は,今日,一般にlog P=-a log R+bという式によって示されている。ただし,Pは,都市の人口,Rは都市人口Pの人口最大の都市からの順位,aおよびbはパラメーターである。この論文においては,1960, 1965, 1970,および1975年のわが国全体の都市人口に対してこの法則をあてはめると同時に,これらの年における,わが国の9地域(北海道,東北,関東,中部,近畿,中国,四国,九州,沖縄)の都市人口に対してもこの法則をあてはめてみた。その結果,わが国全体の都市人口に対しても,また9地域内の都市人口に対しても,この法則がきわめてよくあてはまることが知られた。このことから,わが国における都市人口の分布は,順位規模法則を通して見るかぎり,地域的に均質な構造をもっているということがいえる。ところで,このような解析をおこなう場合,検討しておかなければならない問題は,一国の内部の2つ以上の部分的な地域内の都市人口が,同時に,順位規模法則に従って分布し得るかどうかという問題である。理論的な検討の結果,一国全体の都市人口が順位規模法則に従うという条件と,さらにもう1つの追加的条件が満たされたとき,2つ以上の地域における都市人口が同時にこの法則に従うことが可能であるということが見いだされた。わが国の都市人口においても,上記のような条件が満たされているため,地域的都市人口が順位規模法則に従うという結果が得られたといえよう。

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© 1982 日本人口学会
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