日本臨床救急医学会雑誌
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原著
神戸市消防局における「血糖測定並びに低血糖発作への静脈路確保とブドウ糖投与」プロトコールの有効性
菊池 悠西山 隆城月 徹岡田 直己安藤 維洋
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2018 年 21 巻 3 号 p. 504-512

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抄録

目的:神戸市消防局における救急救命士の処置拡大行為についてその効果および課題を検討する。方法:2014年4月1日から1年間の神戸市消防局による「血糖測定並びに低血糖発作への静脈路確保とブドウ糖投与」が行われた698症例を対象に血糖測定,静脈路確保,意識レベルの変化,活動時間等を調査した。結果:血糖値50mg/dl未満は202症例,静脈路確保が試みられたものは137症例,静脈路確保成功率約80%,ブドウ糖投与が行われたものは106症例,意識レベルの改善をみたものは101例。平均活動時間は2013年度の比較対象群より血糖測定実施症例で4分57秒,ブドウ糖投与症例で11分22秒延長したが,病院前ブドウ糖投与までの平均時間は病院後投与より12分程度短縮効果があると思われた。結論:低血糖事案に対し病院前ブドウ糖投与で早期の意識レベル改善の効果が認められた。また,静脈路確保の精度向上や活動時間の短縮等の課題もあげられた。

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